気まぐれエンジニア日記

ひよっこエンジニアの雑記

いいレポートにするにはどのように書くべきかを自分なりにまとめてみた

お久しぶりです. 本当に1年ぶりとかでしょうか. 文章を書くのは苦手なもんで, 気が向くのがこれくらいのペースなのです.

さて, 久しぶりと言っておきながら, 今日書くことは数学のことではありません.
筆者は理系の大学生なので, 実験レポートを書く機会が多いのですけど, 大学というのは残念なもので, レポートを書く機会, すなわち課題の量は多いにも関わらず, どのようにかけばいいレポートになるかという指導がほとんどされないのです. そのため, 自分では頑張っていいレポートを書いたつもりであるのに, いいレポートの条件を知らないためにいつまで経ってもいい点数がつかないなんてことがずっと続いてしまう人も少なくないようです.

どのようにかけばいいレポートになるかということは, 本来は大学の実習・実習科目で教えられるべきことではあるのだけれど, 最初に言ったように大学はいつまでも誰も教えてくれないようです. なので, 筆者自身がレポートを書くときに普段気をつけていることを書こうと思います. 一学生の意見に過ぎないし, プロである教員から見ればまだまだ足りない部分も多いと思うけれども, まとめておいて損はなさそうなので.

全体の構成

実験・実習のレポートを想定しますと, 全体の構成は次のようになるのがベタだと思います.

1 . テーマは何か.
2 . 何をやったのか.
3 . どんな結果が得られたのか.
4 . 得られた結果からどんなことが考察されるか.
5 . 考察を踏まえて次に何をするべきか.

これらを1つずつ見ていくことにします.

テーマとやったこと

テーマは, 解いた問題や注目した事柄について述べ, どんなことをゴールに設定したのかを書くべきでしょう. 例えば, この文章であれば, テーマは「どのようにかけばいいレポートになるかを記述する」になります. 今からこんなことを話しますよ, ここに注目しますよ, これ以外は考えないよ, と高らかに宣言してしまうのです.

2つめの何をやったのかというのは必ずしもテーマとは一致しません. テーマである解きたい問題や注目したい事柄を考慮したときに, どのような方法や手法を用いたのかを記述するべきでしょう. 情報系であれば, 実行したコマンドを書いたり, 具体的なアルゴリズムや数式の説明ということになると思います. この文章であれば, 「上で述べた5つに分けて話をすることにします」と述べたことが対応するでしょうか.
同時に, 問題を解くにあたって独自に導入した概念や未定義語があったりした場合はここで説明しておくべきだろうし, 使用した方法や手法がなぜうまくいくと考えたかの説明もした方が良いでしょう. ここで, うまくいくと思ったことが, 実際にはうまくいかなくても構わないのです. それは結果で提示すればいいし, 原因を考察すればいいです. ひとまずは, こうやればきっとうまくいくはずだよね, ということを納得してもらうことを考えましょう.

結果の提示

「やったこと」で述べた手法に従って何らか実験を行えば, 当然何らか結果が得られるはずです. 結果の提示では, 実験中に見たままを書きます. 何かの値の測定実験であれば, 値がこんな風に上下したとか, 最大値・最小値はいくつだったとか, そんなことを書きます. その分野のことを全く知らない人が見たとしても誰でもわかること, をかけばいいのです. 結果の報告は知識が変にない方がうまくできると言ってもいいでしょう.

見たままを書きますと言ったけれど, むしろ書かなくてはいけません. 数値を測定したら, 表やグラフを作ることもあるかもしれないし, オシロスコープの波形測定のように画面の表示そのものを結果として提示することも多いですが, その図や表をペタッと貼り付けただけでは不十分です. その図のどんなところに注目したらどんな特徴が見て取れたかということを文章で書く必要があります.

見ればわかるだろって思うかもしれませんが, それはあなたが得られた表や図のどこに注目するべきか, どんな結果が期待されるかを知識として知っているからで, 何も知らない人からすれば, 何をどう見ていいかわからないものです. 「見てみて, ここすごいよ!」とか「ここみてよ!こんなことになってるよ!」っていうことを書いてなければいけません.

加えて, 全ての結果はなるべく数字を使って説明されるべきです. 大きくなった, 小さくなったではなくて, いくつ変化したとか何倍になったというように数値化をすることを考えましょう. 数値化するために新しい指標を独自で定義してもいいと思います. 複雑な指標を用いる際には, 自分で導入した指標がどのような意味を持ち, それが感覚的なものと矛盾しないことを説明する必要があります.

1つ例をあげましょう. 2つのグループA, Bに分かれている講義の書き起こし文の集まりが与えられて, それがどの科目のものなのかを推定することを考えます.(これが先に述べたことで言えばテーマです) そこで, 事前に決めた単語がグループA, Bの文章にそれぞれいくつずつ入っているかを調べる実験をしたとします.( これは先で述べたことで言えばやったことです.)

表1. 各グループのテキストの単語の出現回数の和

単語 グループA グループB
エントロピー 136 0
問題 80 76
データ 90 84
確率 130 2
キャッシュ 0 112
記憶 1 104

この時, 筆者は次のように結果を報告します :
各グループの単語の出現回数の合計を表1に示す. (図や表の参照先の提示)
グループAとグループBを比較すると, グループAだけに多く含まれる単語は, 「エントロピー」と「確率」であり, グループBだけに多く含まれる単語は「キャッシュ」「記憶」であった. (1番言いたいこと)
今あげた, 一方だけに多く含まれる単語についてみると, 多く含まれるグループでの出現回数が100を上回っているのに対して, 少ないグループでの出現回数は10を下回っており, 大きな差があった. 一方で, 「問題」や「データ」といった単語はグループAとグループBの出現回数の差が10以下と小さかった(数字を用いた説明).

ここで, グループA, Bの講義名が〇〇であるということは一切述べていないことに注意してください. 表を見て, そこから単純に読み取れることだけを書いています. なんども言いますが, 結果は数字をなるべく使って見たままを書くのです.

一方, 見たままとは言え, こんな結果の報告の仕方は最悪です :
各グループの単語の出現回数の合計を表1に示す. 今回調べた単語の中には出現回数に偏りがあるものが多くあった.

偏っているというのがどういう状況なのかわからないし, どの単語に, どの程度, どちらのグループ側に偏りがあるのかもわかりません. 高い数字が出たとか, 妥当な値であったとか, 正しい結果だった, というのも同様によくわかりません.

まとめると, 結果には
* 図や表, 数値から読み取れる見たままのことについて
* どこに注目すると
* (なるべく数字で表現をして)どの程度
* どんな現象が見られたのか

を書くといいと思います. 図や表をペタッとして参照先を書くだけではなくて, ちゃんと文章で書きましょう.
見りゃわかるだろ!いやわからんが....

考察の記述

考察は,

  • 結果として提示したような見たままではわからないことを
  • 事前に知っている知識と照らし合わせながら
  • 得たい結論に繋げたり
  • 得られた結果の妥当性を検証したり

するための自分の考えを述べていくことを言います. 事前に知っている知識を長々と書いて, 実験で妥当性が確認できたと書くだけでは不十分で, なぜ妥当であると言えるのかということまで書く必要があるでしょう. 理論の式に実験の数値を代入して比較したり, 理論をこういう風に捉えれば一致するということを 実験結果に基づいて 書く必要があるでしょう. ふとした疑問「なぜ」を全部潰すつもりで書くといいと思います.

考察の記述にはさらに注意点があります.

  1. 終わりの見えない他人の考えなんて誰も読みたくないので, どのような観点で考察を進めるのかをはじめに明記する. (テーマの提示と似ている)

2.1. 結果の報告で記述した見たままの事実に書かれていないこと, および一般論として知られている事実以外のことに基づく考察は書かない.
2.2. もしデータを見ているうちに新しく考察が出てきたなら, その根拠となる事項を結果の章にも書き加えなければならない.

3.1. 「と思われる」「と考えられる」などの曖昧な表現はしない. 「と言える」「と断定する」「と考える」と書く. 自信がないことは書かない.
3.2. もしどうしても推定の域を出ないことを書きたいならば, 推定であることを明記した上で, どのような実験をすればこの推定を脱することができると考えるかを記述する.

4.1. 文章中で主張が一貫していることを十分に確認する. 矛盾する主張が出てきそうになったら, 元の主張自体を書かない.
4.2. どうしても最終的な主張と違う事実が1つ2つあり, 特例のように扱いたいなら, 外れ値があることを明記した上で, なぜ外れ値が生じたと考えるかを記述する.

5.1. 実験者が実験から導く理論に飛躍があってはならない. 循環論法(示したいことを使って論を組み立てること)は論外.
5.2. 逆に, 誰でもすぐに検証が可能な数式の同値変形を細かく記述する必要はない.

例をあげようと思うと大変なのでやりませんが, こんなことに注意してみるのがいいと思います.

次にやること

考察の際に, 推定の域を出なかったことについて追実験を考えたり, 今回行った手法と別の手法を提案するのが良いと思います. 別の手法の提案をするときには, こうやればきっとうまくいくはずだよね, ということを納得してもらうための説明を書くと良いでしょう. こうして, 最初に述べた5ステップをぐるぐる回しながら実験を進めれば良いと筆者は考えます.

終わりに

あー疲れた. レポートって大変ですね.
そしてこれを教えてくれないW大学CS学科はマジでなんなんですかね.
まあ諦めましょう. 代わりに筆者が書いたから. それではまた!